1.大坂城
| 指 定 | 特別史跡、国の重要文化財、国の登録有形文化財、日本100名城 |
| 遺 構 | ［遺構］櫓、門、石垣、堀 ［再建］天守 |
| 歴 史 | 明応5年（1496年）蓮如により建立された大坂本願寺を前身とする。その後、石山合戦を経て織田信長の支配下となり、天正11年（1583年）羽柴秀吉により大坂城が建てられた。慶長20年（1615年）大坂夏の陣で豊臣家が滅亡した後、大坂城城下町の復興が行われ、元和6年（1620年）に徳川秀忠の命により天下普請で大坂城は再建された。 |
| 駐車場 | D-parking 大阪城公園駅前駐車場 – Google マップ |
| 住 所 | 大阪府 大阪市中央区 大阪城３−４ |
| トイレ | あり |
| 訪問日 | 2023年11月13日（月）曇り時々雨 のち晴れ |
1-①真田丸跡
a) 玉造幸村ロード
ＪＲ大阪環状線の玉造駅で下車し、三光神社を目指す。
電車移動での城旅は初となる。大阪市内は、車より電車と歩きのほうが効率が良い。
真田十勇士のひとり・穴山小助のパネル。大坂の陣で徳川軍を討ち破った真田信繁（幸村）とその家臣団は、江戸時代に徳川幕府に不満を持つ民衆の間で「真田幸村と真田十勇士の活躍譚」としてもてはやされた。
真田十勇士のひとり・由利鎌之介のパネル。名前に「鎌」があるから鎖鎌使いキャラになっている。十勇士の他の8名のパネルもどこかにあるのだろう。
b) 三光神社
玉造駅から歩いて7分ほどで三光神社に到着。
真田丸ののぼり。三光神社より西の方は小高い丘になっており、かつては真田丸という名の大坂城南出丸があった。
真田信繁（幸村）像。信州松代の真田家菩提寺・長國寺から持ってきたという真田石を据え、その上に建てられた。
史蹟 真田の抜け穴。この穴は地下へ続き、はるか紀州九度山へ通じているという伝説が残る。慶長19年（1614年）真田信繁は九度山を抜け出し、九度山とここを結ぶ地下道を通り、大坂城入りを果たしたという。この穴の反対側については、九度山・真田ミュージアム【紀北+和泉の城】🔎にて。
なにげにパワースポットっぽい場所があったので、貰えるパワーは貰っておく。
この上は拝殿。
c) 心眼寺
三光寺の北側から西へ歩き、小橋寺町通りへ出る。
小橋寺町通りにある心眼寺坂。この坂の上が、真田丸の跡地となる。
坂の途中にある心眼寺。
地図上に点線で囲われた三日月状のエリアに真田丸があった。真田丸は、大坂城惣構の外掘南側に真田信繁が築いた出城で、大阪冬の陣では徳川の大軍をわずか3千騎で迎え討ち、勝利を収めた。
まんなおし地蔵尊と真田信繁の墓。墓石には「真田左衛門佐豊臣信繁之墓」と書かれている。
心眼寺坂の残りを登る。真田丸跡の大半は、私立大阪明星学園（中学・高等学校）の敷地になっている。
心眼寺坂を登りきったところにある真田丸顕彰碑。
真田丸跡。小橋寺町通りには400～500ｍの区間に12寺の寺院があるが、真田丸が築かれた慶長19年（1614年）当時も、この辺りに寺院は立ち並んでいた。
1-②大坂城惣構
a) 惣構外堀
心眼寺坂を戻り、大阪城を目指して北へ向かう。
天王寺区空堀町と中央区玉造2丁目の交差点。ここは惣構の外堀跡になる。巨大な堀で城下町を丸ごと囲い、大和川（現・寝屋川）の水をここへ引いていた。交差点の向こうにひときわ急な登り坂があるので、そこからが城内か。
坂の上から交差点を見る。この下の道路が水堀だったと思うと納得出来る。
b) 越中井
聖マリア大聖堂。戦国期のキリシタンを代表する2人の石像が建っている。
細川ガラシャの紹介板。
“関ヶ原の戦い”時の細川ガラシャの最期について書かれている。ガラシャの死により、石田三成は徳川方に付いている武将たちの妻を人質にすることを諦めた。ガラシャの魂をかけた決断により、細川忠興などの有力武将たちは徳川から離反することはなく、徳川家康は関ヶ原の戦いで勝利した。
越中町筋は直線なのだが、このエリアだけ中央にある緑地を避けて湾曲している。
その緑地には、越中井という細川越中守忠興の屋敷にあった井戸跡がある。忠興は「細川越中殿」や単に「越中殿」と呼ばれていたので、“越中さんの屋敷の井戸”が略されて“越中井”という呼びかたになった。後世の人々が道を曲げてでもこの井戸跡を残したというところに、細川ガラシャの偉大さを感じる。
ガラシャの死に関して興味深いエピソードがある。屋敷にいた家臣たちはそのほとんどが殉死したが、稲富祐直という家臣だけは生き残った。稲富祐直は「稲富流砲術書」で有名な砲術の先生で、細川屋敷を取り囲む石田方の者たちの中にも教え子が沢山いた。彼らに殉死せず生き残るよう説得されたのか、俺だけ逃がしてくれと頼んだのか経緯は分からないが、ひとり生き残った祐直は、主君・細川忠興に命を狙われたという。その後祐直は徳川家康を頼り、家康の九男・義直（名古屋城主、尾張徳川家の祖）の家老となった。しかし、そもそも稲富祐直は丹後守護・一色義定の譜代の被官で、その義定を謀殺した細川忠興に従わざるを得ない形で細川家の家臣になっていた。「なんで俺まで追腹（殉死）しないといけないんだ」という思いはあっただろうと想像する。一色義定と細川忠興の戦いについては【丹後：宮津＆京丹後の城】🔎で触れている。
c) 大阪府庁食堂
大阪城公園の西側（大手門側）にある大阪府庁。
お昼どきなので、大阪府庁の地下にある府庁食堂で食べることに。
府庁ライス。このボリュームで600円！
福島応援定食。アイス付きで900円！！
大阪府庁から見た大阪城。
1-③大阪城公園
大阪城公園案内板。緑色のエリアが大阪城公園として整備されている。
大手前地区にあるローソン。公園内にはローソンが6店舗構えられている。
a) 大手門
大手口土橋の先に、大手門がある。
土橋の上。
大手門近くから見る、千貫櫓（現存）と渡櫓（復元）。
大手門外門（現存）。
大手門外門は、高麗門になっている。門の下にいるのに空が見えるのが特徴。戦国初期の門は、2本の柱に横木を渡しただけの冠木門だった。その後、冠木門を2組前後に配置し、その上に屋根を備えた薬医門が誕生した。そしてその屋根をオープンカーのように開いた高麗門へと進化した。
大手門外門の内側。
外門から入って左手にある大手門内門（現存）。枡形虎口をにらむ内門は、定番の櫓門になっている。
右手には、市多聞と呼ばれる多聞櫓があった。
正面にある3つの巨石。ナオのいる所の石が大手見付石で、城内で4番目に大きな石だと説明板に書かれている。その左右が5番目と6番目。大坂城には、これらの巨石よりもっと大きい石があと3つもある。
大手門の外門（左）と内門（右）。比較してみると、外門より内門のほうがかなり重厚な印象を受ける。外門を突破して枡形虎口に侵入してきた敵兵は、内門攻略に手間取っている間に枡形虎口の三方攻撃を受ける仕組みだ。
大手門内門を通過する。左手にある西の丸（写真無し）には、城代屋敷があった。正面には南仕切門跡があり、その先は二の丸になっている。
矢穴の空いた石。
b) 二の丸-南側
二の丸と本丸の間の空堀。
二の丸にある大坂本願寺推定地。
大坂本願寺は、本願寺中興の祖・蓮如により建立された。石山本願寺ともいうが、“石山”は江戸期に何らかの理由で付けられた呼称のようで、戦国期当時は「大坂本願寺」や「大坂御坊」と呼ばれていた。これが「大坂」の地名の初見とされ、現在の「大阪府」の語源となった。
六番櫓。大坂城南外堀を睨む櫓は一番から七番まであり、一番櫓と六番櫓のみ現存している。四番櫓・五番櫓・七番櫓は、慶応3年（1868年）鳥羽伏見の戦いで徳川慶喜に勝利した新政府軍が大坂城を占拠した際に、二番櫓・三番櫓は、昭和20年（1945年）太平洋戦争の空爆により、それぞれ焼失した。
二の丸。平日ということもあってか、歩いている人の8割は外国の方々。大坂城は円郭式曲輪で、本丸の周囲をドーナツ状に二の丸が配置され、その二の丸の周囲をドーナツ状に三の丸が配置されている。今いるのは二の丸の南側になる。
大阪豊國神社。豊臣秀吉を祀る神社として明治12年（1879年）に二の丸南側に建てられた。徳川幕府を滅ぼした明治政府は、徳川以前の統治者だった豊臣秀吉や、足利幕府を滅ぼした織田信長をもてはやした。現代日本人の“秀吉好き”、“信長好き”の土台は、この頃培われたと考えられる。“おおさか”の表記が「大坂」から「大阪」になったのもこの頃。
豊臣秀吉像。
本丸へ向かう。
c) 本丸
二の丸と本丸を連絡する土橋を渡ると、本丸の虎口・桜門（現存）がある。桜門も高麗門になっている。
本丸枡形虎口。
桜門の正面にある巨石・蛸石。大坂城で一番大きな巨石となる。高さ約5ｍ×横幅約12ｍ、推定重量は108トンという。
本丸にそびえる大天守。入城待ちの人々が行列になっている。
行列に並んでいる間に金蔵（現存）を見学。幕府直轄の大坂城で、金庫としての役割を果たしていた。
入城待ちの行列の中から大天守を見る。大天守手前の石垣の上には、かつては小天守があった。
大坂城は、石垣と土壁の境目に鉄砲狭間を設けているのが特徴。この四角い鉄砲狭間は、内側は錐台状に開いているため、上下左右に角度を変えて敵を狙うことが可能になっている。ただ、敵を確認して撃つには狭間の上に小窓が必要なので、昭和6年（1931年）に復興再建されたこの天守は、位置が合っていないように見えるのだが。
小天守跡にある金明水井戸。
大天守の中へ入る。
天守8F展望台から見た北東方面の景色。三の丸跡にある淡緑色の屋根は大阪城ホール、その隣は大阪城野球場。
天守5F。籠城戦となった大坂冬の陣の配置図。北は淀川と大和川、西は木津川、東は田んぼがありそれぞれ侵入困難だが、南は特に何もないため、徳川方の主力部隊のほとんどは南に陣取りしている。その南を守るため惣構の外に築かれた真田丸の存在が、ひときわ際立っている。
大坂夏の陣屏風。
野戦となった夏の陣の一部を再現した松平忠直隊のフィギュア。忠直は結城秀康（家康の次男）の嫡子。
同じく真田信繁（幸村）隊のフィギュア。
豊臣期と徳川期の両大坂城の比較図。豊臣大坂城は現在の大坂城（徳川大坂城）の少し東にあった。石垣からの天守の高さは29ｍなのだが、これは織田信長の安土城と全く同じ。外観も安土城をオマージュしたものだったと考えられている。
d) 山里丸
天守を出て、本丸北側にある山里丸へ向かう。小雨が降っているが西の空に雲は無いので、直に晴れるだろう。
本丸山里口の枡形虎口内門・姫門跡。
山里丸の説明看板。
山里丸。豊臣期は、木々が茂った癒やしの空間だった。本丸天守の真北に位置するので、夏は日陰で過ごしやすかっただろう。
「豊臣秀頼 淀殿ら自刃の地」の石碑。慶長20年（1615年）大坂夏の陣にて敗戦となった豊臣秀頼は、自ら天守に火を放ち、ここ山里丸の櫓に入った。そして母・淀殿、大野長治、真田大助（信繁の嫡子）らと共に自刃し、豊臣家は滅亡した。
山里丸の枡形虎口。
極楽橋。山里丸の虎口は極楽橋を介して二の丸北側へ連絡している。
極楽橋から見る内堀。
e) 二の丸-北側
二の丸北側から見る極楽橋。本丸と二の丸を連絡する経路は南の桜門土橋と北の極楽橋の2ヶ所のみ。
本丸東面の高石垣。高さは30ｍで日本一。
青屋門。二の丸の北東にあり、ここを通って三の丸（大阪城ホール）へ行ける。二の丸と三の丸を連絡する経路は4ヶ所あり、北東の青屋門、南東の玉造門、南西の大手門、北西の京橋口となっている。
雨が上がり空気が澄んでいるからか、天守がくっきり見える気がする。
京橋口の枡形虎口。京橋口から三の丸へ出る。
1-④豊臣大坂城
三の丸の北西から西にかけては市街地になっている。私立追手門学院の壁に、発掘された豊臣大坂城の石垣が積まれている。
これが豊臣秀吉が作った大坂城の石かと思うと感慨深い。
おうてもん石垣ギャラリー。地下で発掘された石垣を、このガラス窓から見る事が出来る。
これも石垣。
ここは一面に石垣が組まれている。
矢穴の跡のある石。
＜ＥＮＤ＞
Follow me!
コメント